Loading

白山ミュージアムポータルサイト

お知らせ

§今週の1点 中川一政「薔薇」1973年

§今週の1点 

 

中川一政「薔薇」

 

 

中川一政《薔薇》1973年

NAKAGAWA Kazumasa《Roses》1973

 

 

 

全国の中川一政ファンのみなさま、こんにちは。いかがお過ごしですか。

2020特別企画 所蔵全作品公開展Ⅰ期「百花撩乱―薔薇作品を中心に―」(3月3日~5月31日/現在は臨時休館中)の開館中、来館者の皆さんに「お気に入り作品」を選んでいただきました。その中から〈今週の1点〉としてご紹介します。

 

中川一政「マジョリカ壺の薔薇」1976年

カンヴァスに油彩/80.3×65.1センチメートル/[5票/50投票中]

 

先週の「マジョリカ壺の薔薇」(1976年)に続いて、薔薇の作品です。
色とりどりの大輪の薔薇は、一つひとつが堅牢な造形によって存在感を放っています。たくさんの薔薇を受け止める壺も大振りです。壺に描かれた男性は前傾姿勢で、画面右側に密集した薔薇の重みを引き戻そうとするかのようにも感じられます。先週同様、「ムーヴマン」と「バランス」に注目して画面世界を巡ってみてください。

 

さて、この「薔薇」は、1973年6月の「中川一政新作展」(大阪・画廊梅谷)に出品された一政80歳の作品で、当時の展覧会カタログを見ると初めのタイトルは「マジョリカ壺のばら」だったようです。一政は、戦後の1946(昭和21)年に「中川一政新作展」(大阪・髙島屋)を開催して以来、ほぼ毎年様々な会場で新作発表展を開いており、それは晩年の1989(平成元)年、一政96歳まで続きます。彼を駆り立てたものは何か。
一政曰く、
「画をかくというのは、記録を作ることだよ。きのうできなかったことを追求していく。きょうは手が届いた、明日になったら…という具合にね。僕が毎年、個展をやるのも、そういうことだ。自分の記録をどれだけ破ったかをみるためだよ。」(『獨り行く道』求龍堂刊)

この言葉からは、長年、薔薇という同じモチーフを描きながら、一つの到達点に留まることをよしとせず、常に新たな境地を拓こうと自己革新を求め続けた画家の生き様を伺うことができます。

前回ご紹介した「マジョリカ壺の薔薇」(1976年)、そして今回の「薔薇」(1973年)、は、いずれも80歳代前半のものですが、当館には、80歳代半ばから最晩年97歳までの〈薔薇〉作品が数多く所蔵されています。中川一政が何を求め、どう変容していったか、比べることで見えてくるものかあるかもしれません。

 

 

松任中川一政記念美術館の所蔵作品は、以下のサイトで見ることができます。
●白山ミュージアムポータルサイト_収蔵品検索のページ
http://www.hakusan-museum.jp/goods/goods_search.php
●文化遺産オンライン(文化庁)_松任中川一政記念美術館のページ http://bunka.nii.ac.jp/museums/detail/12616

◎松任中川一政記念美術館ウェブサイト_トップページはこちら
http://www.hakusan-museum.jp/nakagawakinen/

 

2020.4.21掲載 
ご案内:松任中川一政記念美術館 学芸員 徳井静華 

 

 

 

ページTOPへ