Loading

白山ミュージアムポータルサイト

お知らせ

§今週の1点 中川一政「薔薇」(ばらと林檎)1973年

§今週の1点 

 

中川一政「薔薇」

(ばらと林檎)

 

中川一政《薔薇》(ばらと林檎)1973年

NAKAGAWA Kazumasa

《Roses》/(Roses and Apples) 1973

 

 

 

 

全国の中川一政ファンのみなさま、こんにちは。いかがお過ごしですか。

2020特別企画 所蔵全作品公開展Ⅰ期「百花撩乱―薔薇作品を中心に―」(3月3日~5月31日/現在は臨時休館中)の開館中、来館者の皆さんに「お気に入り作品」を選んでいただきました。その中から〈今週の1点〉としてご紹介します。

 

◆中川一政「薔薇」(ばらと林檎)1973年

カンヴァスに油彩/60.6×45.5センチメートル/[4票/50投票中]

 

今週は、再び〈薔薇〉作品です。12号(約60×45センチメートル)という比較的小さなサイズですが、鮮やかなオレンジ色を背景に色とりどりの薔薇が、力強く所狭しと咲き誇っています。少し画面左寄りに置かれた壺は、小首を傾(かし)げるように上部で右に傾いており、あたかも画面右下に配された二つの林檎と対話しているかのようです。一方で壺に描かれた人物は首を左の方へ傾け、大輪の黄色い薔薇も、重心を引き戻すかのように画面左を向いて絶妙のバランスを生んでいます。

 

本作は、当館では収蔵当時から長く「1978(昭和53)年作」としていましたが、最近になって1973年の「中川一政新作展」(大阪・画廊梅谷)に「ばらと林檎」というタイトルで出品されていたことが分かり、制作年を「1973(昭和48)年」と改めたものです。
 
さて、本作制作の翌年にあたる1974(昭和49)年、中川一政はパリで個展(吉井画廊)を開いています。一政によると、当時のパリの画家や市民たちは彼の画を見て、最初に「画の中に〈書〉が入っている」と言ったそうです。(中川一政『獨り行く道』求龍堂)。形をとるために引く線とは異なる一政の絵筆の線。筆の打ち込みや、勢いが生む存在感。パリの人々はそこに、日本の書の精神を感じ取ったのかもしれません。

 

そうして本作を見れば、そこには確かにやり直しのきかない真剣勝負の一線一線があります。一政の画がもつ力強さは、この精神に裏打ちされたもとの言えるのかもしれません。

 

 

松任中川一政記念美術館の所蔵作品は、以下のサイトで見ることができます。
●白山ミュージアムポータルサイト_収蔵品検索のページ
http://www.hakusan-museum.jp/goods/goods_search.php
●文化遺産オンライン(文化庁)_松任中川一政記念美術館のページ http://bunka.nii.ac.jp/museums/detail/12616

◎松任中川一政記念美術館ウェブサイト_トップページはこちら
http://www.hakusan-museum.jp/nakagawakinen/

 

2020.5.4掲載 
ご案内:松任中川一政記念美術館 学芸員 徳井静華 

 

 

 

ページTOPへ