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作品コラム

§今週の1点 中川一政「向日葵」1975年

§今週の1点 

 

中川一政「向日葵」

 

中川一政《向日葵》1975年

NAKAGAWA Kazumasa《Sunflowers》1975

 

 

 

全国の中川一政ファンのみなさま、こんにちは。いかがお過ごしですか。

2020特別企画 所蔵全作品公開展Ⅰ期「百花撩乱―薔薇作品を中心に―」(3月3日~5月31日/現在は臨時休館中)の開館中、来館者の皆さんに「お気に入り作品」を選んでいただきました。その中から〈今週の1点〉としてご紹介します。

 

◆中川一政「向日葵」1975年

カンヴァスに油彩/80.3×65.1センチメートル/[4票/50投票中]

 

先々週、先週と〈薔薇〉の作品が続きましたが、今週は〈向日葵(ひまわり)〉です。
4月下旬からの大型連休の頃を境に陽射しが強さを増しますが、そんな来たる夏を思わせるような大輪の向日葵です。画面左上の花は、大人が手の指を広げたよりも大きく、大胆で迷いのない筆遣いが力強さを生んで、見るものに迫ってくるようです。全体を見渡すと、花だけでなく、葉や壺、そして背景までもが勢いのあるタッチで描き上げられています。躍動するようなタッチからは、花が枯れ、そのいのちが尽きる前に、何とかその生命感を画面に留めおこうとする画家の情熱を感じます。

 

さて、「向日葵」と聞いて多くの人が思い浮べるのは、オランダの画家ファン・ゴッホ(Vincent Willem van Gogh 1853-1890年)でしょう。一政にとっても、ゴッホ、そしてゴッホの「向日葵」は大きな存在でした。
一政のエッセイです。
「画の向日葵と云えば、ゴッホの向日葵を思い出すより外にない。眩(くるめ)くような粗野な質と強烈な色彩は、夏の最も暑い時に最も特色を発揮するのである。(中略)ゴッホは白い画布に「この裡(うち)に何か宿るまで。」と祈念しつつ対(むか)った。何かとはいのちである。・・・」(中川一政「画の向日葵」『美しい季節』1942年 桜井書店)

 

アカデミックな絵画技法に拠らず、独自の画法を確立したゴッホの存在は、若き日に独学で画家を志した一政を勇気付ける存在でもありました。
また一政は、アトリエの庭に100本を超える向日葵を植えたと言われます。夏の限られた花の時期に、精力的に取り組み、戦後から晩年の1990(平成2)年までに約170点の〈向日葵〉作品を生み出しています。
一政もまた、花の「いのち」を追求し続けた画家の一人なのです。

 

 

松任中川一政記念美術館の所蔵作品は、以下のサイトで見ることができます。
●白山ミュージアムポータルサイト_収蔵品検索のページ
http://www.hakusan-museum.jp/goods/goods_search.php
●文化遺産オンライン(文化庁)_松任中川一政記念美術館のページ http://bunka.nii.ac.jp/museums/detail/12616

◎松任中川一政記念美術館ウェブサイト_トップページはこちら
http://www.hakusan-museum.jp/nakagawakinen/

 

2020.4.28掲載 
ご案内:松任中川一政記念美術館 学芸員 徳井静華 

 

 

 

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