作品コラム
§今週の1点 vol.11 中川一政「山川呼応」1933年
§今週の1点 vol.11
中川一政「山川呼応」
中川一政《山川呼応》1933年[参考作品] 真鶴町立中川一政美術館蔵 NAKAGAWA Kazumasa 《Mountain and River in Harmony》1933
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全国の中川一政ファンのみなさま、こんにちは。いかがお過ごしですか。松任中川一政記念美術館では、感染症拡大防止のための休館期間中、公式ウェブサイトにおいて「§今週の1点」と題する作品紹介コーナーを連載しています。
◆中川一政「山川呼応」1933(昭和8)年
秩父の山奥に逗留して描いたという本作は、一政40歳の作で、翌年1934年の春陽会第12回展に出品されています。この頃の、画家中川一政の中期にあたる作品は多くは残されておらず、その画業を辿る意味でも貴重な作品と言えます。 山と川が呼応し響き合うというタイトルは、一政が表現したかったことを端的に示しています。
「山川呼応」という意味は経絡のことである。当時、私は四面楚歌 の中にいたのではないかと思う。「つぼ」とか「経絡」とか考えている画かきはなかったろう。(中略) (中川一政「画の道 一」/『腹の虫』1975年 日本経済新聞社)
画の中の一つ一つのモチーフは、孤立しているのではなく、古代中国の医学でいう「つぼ」が「経絡」(血気の通り道)によってつながっているように、それぞれが呼応し合い動き出すような画を描きたいのだという宣言でしょう。
※[参考作品]とは、中川一政が生前に自作の整理をした際、破棄しようとした作品の中に資料的価値を見出し、残すことにした作品であり、他の完成作品と区別することで展示公開を許したものです。これらの作品は、一政がいかに自らに厳しいものを課していたかを知るよすがでもあります。 本作を、展覧会「没後30年 中川一政展-二つの中川一政美術館展交流展-」(2021.9.14【開幕延期】–11.28、松任中川一政記念美術館)で是非ご覧ください。 2021.8.27掲載
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