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§今週の1点 vol.10 中川一政「春光」1915年

§今週の1点 vol.10

 

中川一政「春光」

中川一政《春光》1915年

真鶴町立中川一政美術館蔵

NAKAGAWA Kazumasa

《Sunlight in Spring》1915

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全国の中川一政ファンのみなさま、こんにちは。いかがお過ごしですか。松任中川一政記念美術館では、感染症拡大防止のための休館期間中、公式ウェブサイトにおいて「§今週の1点」と題する作品紹介コーナーを連載しています。
 今回は、2021年9月から開幕予定の「没後30年 中川一政展-二つの中川一政美術館展交流展-」展示作品の中からご紹介してまいります。

 

◆中川一政「春光」1915(大正4)年
カンヴァスに油絵具/37.9×45.5センチメートル/真鶴町立中川一政美術館蔵

 

 空を広く描いて「春光」とした本作は、大きな筆致で全体をゆったり捉え、画面全体に暖かな陽光を感じさせます。中央手前から向こうへ続く小道は、見るものを画面世界へ誘うようです。

 処女作「酒倉」(1914年)から半年ほどを経た1915年3月一政は、巽画会第15回展に「霜のとける道」ほか2点を出品し、最高位二等賞銀牌を受賞します。一政22歳の時です。

 この頃から画家として歩む決意をもって創作に向かい、10月の二科会第2回展に本作「春光」ほか2点を初出品して入選を果たします。同じ月、「現代之美術社第1回展」にも出品し、これを機に実質上、岸田劉生(1891-1929)を中心とする「草土社」のメンバーとなります。その後の一政の20代は、劉生の強い影響のもとにあって、それとは一線を画した自分の画を追求していく相克と煩悶の時代を迎えます。

 そうした独学の歩みは勇気づけたのは、当時文芸誌『白樺』によって日本に紹介されたセザンヌ(1839-1906)やファン・ゴッホ(1853-1890)らの作品でした。アカデミックな技法によらず独自の画法を確立した彼らの存在が、一政を触発したのです。画業の初期にあたるこの時期には、写生をもとにしながら画面に豊かな叙情性を湛えた風景作品が多く生まれています。 

 本作を、展覧会「没後30年 中川一政展-二つの中川一政美術館展交流展-」(2021.9.14【開幕延期】11.28、松任中川一政記念美術館)で是非ご覧ください。

2021.8.20掲載 
ご案内:松任中川一政記念美術館 学芸員 徳井静華

 

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●松任中川一政記念美術館サイト-[主な収蔵品]-[作品コラム]

 

 

 

松任中川一政記念美術館の所蔵作品は、以下のサイトで見ることができます。
●白山ミュージアムポータルサイト_収蔵品検索のページ
http://www.hakusan-museum.jp/goods/goods_search.php
●文化遺産オンライン(文化庁)_松任中川一政記念美術館のページ http://bunka.nii.ac.jp/museums/detail/12616

 

 

 

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